About Research(研究テーマ)

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我々は,RFe2O4という鉄の酸化物(Rは希土類)を基礎から応用に渡り(海外も含む)たくさんの人達と研究しています。

この物質は,鉄イオンたちの上で電子が対称中心を消失する形に並び電気分極ができる新種の誘電体です。こういった新型の誘電体は,私達が世界にさきがけて発見しました。

このような電子の並び方で電気分極が作られる誘電体は,今まで知られていませんでした。我々の発見の後,他の物質でも同じような電気分極があるのではないか?と,多くの人が考えるようになってきました。最近では,こういった電子分布の偏りが電気分極を形成する誘電体を「電子誘電体」と呼ぶ人が増えつつあります。

私たちの研究室では,RFe2O4や関連物質の良質な試料を作製しています。最近作っている結晶は,世界で一番高品位な”完全結晶”であることが放射光スペックル試験によって証明されました。同時に電気伝導を持つ誘電体の不思議な特性も,徐々に解明してきています。沢山のわからないことがあるので,多様な手法を用いた物性研究が必要になっています。物性物理の学習には最適かもしれません。また発見された新機能は,電子デバイスなどへの応用を目指して,他の研究グループ(大学,研究機関,企業など)と協力した研究が行われています。

こういった室温で電子が規則配列をとる物質にはとても不思議な現象があります。次々と不思議なことが見つかるので,岡山大学はこの物質を“グリーンフェライト®”と名付けました。

今までは,電子の規則配列(秩序化)は超電導と同じように低温でしか起こりませんでした。電子には量子力学の性質が有りますが,それが規則的に並んでしまうので,際立った特性が引き起こされるようになるのです。それが室温でも存在するのですから,とても魅力的な現象が起こります。

グリーンフェライト

この電子の秩序化は物質中の電子同士のクーロン反発力(電子相関)効果で起ります。

秩序化した電子群は誘電体に類似した同じ特性を示しており「電子誘電体」とも呼んでいます。そして電子の秩序化は,クーロン力を及ぼし合う電子達が三角形の形に居ざるを得ないために起こるようです。これはフラストレーションという考え方です。フラストレーションは,この物質のふしぎな出来事を引き起こす鍵だろうと考えられています。

Multiferroic  電気磁気効果

鉄イオンの電子が誘電体になるように規則配置を作っているのですが,さらにおもしろいことに,この鉄イオンのスピンは磁気秩序を示します。つまり誘電性と磁性が同時に存在するようになります。我々の研究から,この物質は磁場をかけることで誘電性が変わることが分かりました。磁気特性と誘電特性が相互に影響を及ぼしあう現象を電気磁気効果と呼びます。

皆さん電磁気の授業で,磁化と磁場の関係と,電場と分極の関係を理解しましたよね。これはMaxwellの方程式に出てくる基礎物理学の基本原理でした。

でも今話した電気磁気効果はMaxwellの方程式には書かれていないのです。もうちょっとちゃんと言うと,時間変化しない磁場(H)が電気分極(電束密度 D)を変化させるって「マクセル方程式では記述できない」現象なんです。面白そうでしょ?

極低消費電力トランジスタ

PN 接合を利用した従来型トランジスタでは,駆動電力の省エネ化には限界があります。 一方グリーンフェライトの単結晶や薄膜で作成すれば,順方向電圧降下を持たずに電気伝導度をmW/cc 以下の外部電場で制御することが可能だということがわかりました。

光吸

現在の太陽電池は,太陽光の波長分布のうち特に強度の大きい1.5eV付近以上の可視光を駆動源としています。 しかしグリーンフェライトは可視光から赤外線までを取り込む強い吸収領域を持ちます。 さらに電子相関効果のために,ひとつの光子が複数の電子を叩き出すという,多重光電子放出現象が期待されています。このため赤外線領域からの光を吸収し高効率の光−電力変換ができる,画期的な太陽電池になる可能性があります。この研究も研究室の重要なテーマです。

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